とある女性航海士の日常

新米の女性航海士です。高専や船のことなど書きます。コメントは悪意のないものは100%返信しますが乗船のため非常に遅いです笑(半年後くらいかも)

【現役高専生が語る!高専の特徴】高専ってどんなところ?

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高専って聞いたことはありますか?


私の通っている高専というのは、高等専門学校の通称で、その名の通り専門的な学問を中学校卒業から5年間かけて学ぶ、全国に50くらいある学校です。高校生の年から専門のことを教わることで、早いうちにその道のプロフェッショナルを目指すことができるんです。

 


高専という名前を耳にしたことがある人は多いと思いますが、その実態を知る人はあまりいないですよね。各県に一つずつくらいはあるので進学の選択肢はあるものの、多くの人は県立の普通科高校に進学します。高専が平均して各県一つくらいしなかいのに対して県立や私立の高校の数が違いすぎますもんね!

 

名前はある程度知られているものの、身近にはなかなかいない…、そんな高専についてご紹介しようと思います。


高専に進学を考えている人や保護者の方にはぜひ読んで欲しいですし、進学を考えてない人でも高専のことがわかりますよ〜!

 

 

 

高専ってどんなところ?


高専というのは、簡単に言うと中学校卒業後から、5年間かけて専門科目を学ぶ学校です。高校生の年が3年と、大学の年が2年あり、3年から4年に進級する時に制服がなくなったりなど自由度が上がります。高校の年から大学の年齢までエスカレーター式なので普通の学校とは少し雰囲気が違って、独特な空気を醸し出しているかもしれません(私は一般高校にも大学にも通ったことはないから想像しかできませんが…)

でも確かに、聞くと、普通の高校より自由であっぴろげな雰囲気はありますね。


専門科目というのは基本的には物質や機械、情報、科学、建築などが多いですが、中には私のように船のことを学ぶ商船学科や、言語やビジネスについて学ぶ高専で唯一の文系国際ビジネス学科などがあります。国際ビジネスは全国にも一校にしかなく、学生の9割が女子という高専の中でも異色の学科です。授業内容は商業高校などと同じだと思いますが、大学の年齢まで勉強する分高度なイメージがあります。


基本的には電気とか、機械とか、一般的には馴染みのない学科が多いですね。でも正直、多くの高専生があまり深く考えずに入って来てるので、イメージされているようなロボコンオタクの人とかはほんの一部です(笑)

 

高専の設備


高専は各道のプロを育成しているので校内の設備がとても充実しています。決して新しかったりきれいだったりする訳ではありませんが、勉強の設備に困ることはありません。
私の通っている高専を例に紹介します。

 


教室


各学年の教室は3学科✕5学年に1クラスずつそろっています。このあたりは普通の高校と変わりないですね。教室は黒板ではなくホワイトボードです。学校の中はキャンパスなので基本的に土足で過ごします。教室は普通にみんな置き勉してます。
ちなみに各クラスの教室ではない、空いている教室がいくつもあり、移動教室などで使われます。クラスをコースごとに分けたり別のクラスと合同で授業をしたり専門の授業を教わるときなんかによくこういう空き教室を使います。

 


教官室


基本的には教官に一人一部屋自分の教官室が与えられます。教室の向かいとか、自分の担当学科の近くに教室が与えられ、そこで仕事をしています。自分の好きなように物を置いているので教官の個性が出ます。

例えば、商船学科のある教官の部屋には、小型船のモデルや船会社からもらったカレンダー、世界の船のポスターや各港のお土産などが置いてあります。一人一人部屋が独立しているので教官同士が話すときは互いの教官室に電話したりして連絡を取るんですよね。

たまに学生たちが自分の好きな教官室でおしゃべりしながら溜まります。

 


運動施設


部活動や体育の授業で使える運動用の施設も充実しています。
外には、野球場と400メートルのトラック、テニスコートがあります。しかも全部個別なんです。グラウンドの中に野球場があるとかじゃないんです。十分な大きさです。グラウンドでは陸上部、フィールドではサッカー部やラグビー部が練習しています。


体育館も2つあります。両方普通にシャトルランもでき、全校生徒が集まれる大きさです。体育館ではバスケ部、バドミントン部、バレー部などが練習しています。全体集会も体育館で行われます。さらに、柔道部、剣道部専用の畳の武道場も屋内にあります。

あと、自由にトレーニングができるレーニング場もあり、ベンチプレスの道具やランニングマシン、エアロバイクなどいろんなトレーニングの道具がそろっています。

 

 

食堂・売店


昼食を買えるような食堂や売店もあります。食堂では定食や麺などいろんな種類から安く選べて、唐揚げやポテトなど単品で買うこともできます。授業の合間に小腹が空いたときに揚げたてを買うことができます。食堂では買って食べたり、あるいはお弁当を持ち込む人もいます。


売店は、コンビニの小さいバージョンのような感じで、様々な種類のお菓子やおにぎり、パンや飲み物、カップ麺も売られています。ノートなどの文房具も買えるので、忘れた時にも安心です。

ちなみに売店の品揃えに不満があったら校外になりますが徒歩5分のコンビニもあります。

 

 


構内には寮もあり、校舎から徒歩2分です!私も含め、遠方の人や家を出たい人が寮生活をしています。校舎の一角にアパートのようにして寮が建てられ、そこで寮生が暮らしています。ちゃんと寮生専用の食堂もあり、通学生の食堂とは別になっています。

 

 

実習場


うちの高専は、私たち商船学科があるので、学校の船を停めておく実習場というのが別にあります。50メートルくらいの学校の船と、その他何隻かの小型船、予備の船や船内の備品を管理する艇庫などがあります。学校の船をつけるにはある程度の深さと管理された港が必要なので学校から少し離れていますが、それでも学校で船を持ってるってすごいことですよね!

 

 

レーダーシミュレーター室


商船学科つながりで紹介します。場所的には校舎内にありまして、移動教室で行きます。

レーダーシミュレーターって一体何なのかと言うと、実際に船を操縦しているかのように前方の画面に景色を映し、操縦の練習ができるんです。なかなか体験できないんで、オープンキャンパスに来てくれた親御さんとかもみんな「かっこいい!」って言ってくれます。


このシミュレーターでは、前のモニターに船から見た景色が映っていて、ハンドルで舵を操作したり速度を変えたりしてモニター上の船を動かして行きます。夜の景色を映したりもできますし、波を発生させて難しくすることも、邪魔になる船を発生させることもできます。(たまに教官は意地悪で船を発生させてきます)実際の船のデータを元にしてるので本当に自分が操縦しているみたいにリアルなシミュレーションができます。


同じ部屋に海図もあって、海図で計画を練ってそれを見ながら船を動かしたりもします。

 

 

その他の棟


教室や教官室、実験室などのある一番大きい棟が学校のメインですが、それとは別に構内にはいくつか棟が建っています。

 

 

 図書館

 

学校の図書館は教室とかとは棟が別です。図書館には専門科目の本や資格の本がたくさんあり、勉強できる環境が揃っています。また、普通の読み物もあるので楽しめます。

本を読まなくても勉強スペースで勉強するためだけに来ている人もいますね。私は静かすぎて落ち着かないのでしませんが。もちろん借りることもできます。

それからパソコンも使えるので、レポートや発表原稿を書きたいって人がパソコンを利用しています。

 


専攻科棟

 

高専では本科と呼ばれる5年間を終えた後も、専攻科というところに2年通い、大卒の資格を取ることができます。自分が専門にしている研究をより深めることができますが、そもそも人数があまり多くないので専攻科棟は本科の棟の横に小さく建っています。(本科は一クラス40人くらいだが、専攻科は一クラス10人とか。少ないと5人とかにもなる)

 


工場

 

座学のほかに、実際に手を動かして旋盤や加工の実習があります。ここはロボコンが有名な高専らしいところですね。工場は校舎の中だと危ないしそもそも機械類が大きすぎて入らないので別で造ってあります。うちの商船学科の機関コースの人や、工学科の人たちが機械を使って授業をします。

 


そのほか、移動教室や部活などに使われる、こまごました小さい棟がいくつかあります。だから入学仕立ての頃は場所がわからなくて迷子になりそうでした(笑)また、5年生になった今でも専攻科棟のように入ったこともない棟もあります。


大学のキャンパスから考えれば大したことはないかもしれませんが、高校の年齢でこの規模の設備が整っているって、すごいですよね!個人的には施設何でもあるな!って思います。高専にはデメリットももちろんあると思いますが、少なくとも設備で不満に思ったことはないですね。最大限に自分の好きな勉強ができる環境が充実しています。

 

 

授業内容

 


授業の長さ


高専では授業が90分あります。中学校の頃の軽く倍です。長いですよね。高専は、年代も仕組みもざっくり言えば大学と高校の間の機関なのでそれぞれの要素を持ち合わせています。この授業の長さについては大学と一緒です。この長さも慣れたらどうってことはないですよ。

それぞれの時間は「コマ」って呼ばれていて、「2コマ目」みたいな言い方をします。1コマが長いので、1日の授業数は多くても4コマです。

 


カリキュラム


高専では、「くさび形教育」という教育方法を取っていることで有名です。

 

これは、中学校を卒業して急に専門の授業にどっぷり浸かるのはキツイので、ちょっとずつ慣らしていこうね、っていう教育方法です。

1年から3年、低学年の頃は専門科目が少なく1年生の頃は週に2コマだけでした。しかし、5年生になると、全体の3分の2くらいが専門科目になります。

つまり、5年生になるとほとんどが専門科目で、まだ20歳そこそこにも関わらず、自分の分野についてプロレベルの深い知識をつけることができます。実際に私も、今は授業のほとんどが船についての内容です。それぞれの学科の学生がとても深い知識を持っているのが高専の特徴です。


専門科目でない時間には、普通の数学や英語、歴史などの一般科目も勉強します。1年生のうちは、そういう普通の高校でやるような基礎的な勉強もします。5年生になるとそういう一般科目もほとんどなくなりますが…。(←昔やった地理とか歴史とか完全に忘れてる人)

 

 

高専の雰囲気

 


クラスメイトとの絆が強い


高専は学科ごとに特色が全く異なるため、5年間クラス替えがありません。そんな長い間同じクラスにいるのですから、だいたいクラスメイトがどんな人かっていうのがわかってきます。大して仲のよくないクラスメイトでもなんとなく考えてることがわかります。

また、それだけ一緒にいると自分の居場所になるので、クラスの中にいるだけで安心します。クラスメイトとの絆も強まります。


ただ、似通った学科のある高専の場合は途中から学科分けをするところもあるようです。私のところは学科同士の特色が違いすぎたため、願書を出す時点から別れていましたが。

 

 

 

高専の特徴」、いかがでしたか?高専は一般的にはあまり知られていませんが、通っているのはどこにでもいるような普通の子どもたちです。まあ、確かに高専にはちょっと変わり者は多い気がしますが…(笑)


この記事から、高専のことを少しイメージしてもらえたら嬉しいです。将来高専への進学を考えてる人がいれば、ぜひオープンキャンパスなどへ行ってみてください。

 

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